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自死遺族の思いを講演で語る田中さん
帯広保健所主催の「いのちの講演会」が18日、市内のとかちプラザで開かれ、全国自死遺族連絡会世話人の田中幸子さんが、長男を自死で亡くした体験や遺族支援の在り方などについて講演した。
十勝管内外の自死遺族ら約60人が参加した。田中さんは警察官だった長男を2005年に亡くしたのを期に、仙台で自助グループを立ち上げ、08年には同連絡会を設立し、国や行政に遺族の声を届けている。
田中さんは「自死遺族の悲しみは月日が解決すると思われるかもしれないが、亡くなった家族と会えない時間が長くなるほど深くなる悲しみがある」と強調。「その人を愛していたから悲しいのであり、愛が消えないように悲しみも消えない」とし、遺族の悲しみを取り除こうとする支援の在り方を否定した。
自死の予防・防止策については、「『見守りましょう』『気付きましょう』というのは、非常に遺族を傷付けている」と指摘。自死に追い込むような社会的要因を取り除くことに目を向けるべきだと訴えた。
いじめ問題や労働問題などが一向に改善されない現状に、「自死は他人事ではないというのが今の社会」と警鐘を鳴らし、「問題を見て見ぬふりをするのはやめて、それぞれが周りの人の命を大切にしてもらいたい。弱い人が自死するのではなく、優しい人が死ぬ。優しい人が笑顔で、生きていて良かった、十勝に住んでいて良かったと思えるような地域にして」と訴えた。
講演終了後は、自死遺族が体験を語り合う「分かち合い」も行われ、17人がそれぞれの思いを語った。