帯広協会病院（東５南９、阿部厚憲院長）で９日、総合診療科の開設記念講演会が開かれ、医師を派遣した北海道家庭医療学センター（本部札幌）の草場鉄周理事長が「総合診療医の育成を目指して」と題し、地方で家庭医療を推進するため同センターが進めてきた実践例などを語った。

　同院は２月に総合診療科を開設。同センターから帯広出身の堀哲也医師＝家庭医療専門医＝を責任医長として派遣を受けた。４月から堀医長を含めた医師７人体制で本格稼働させる。

　同院職員や管内町村の医師ら約１００人が参加。草場理事長は１９７４年、福岡市生まれ。京大医学部卒。２００８年から北海道家庭医療学センター理事長を務めている。同センターは家庭医療実践の場として道内では３カ所のクリニックを運営、更別など４カ所に医師を派遣している。

　草場理事長は同センターの教育システムを説明した上で、国の専門医制度改革で、これまでの学会認定の「家庭医療医」から、１７年度に内科など他の専門医も含め、「総合診療専門医」として第３者機関によって位置付けられるようになるとし、「（帯広協会病院が）専門医の研修拠点に加わることで、派遣の総合診療科の医師が外来や救急、病棟なども担えるため（病院としても）診療の幅が広がる」といったメリットを説明。「『人財育成』を進めることで、組織の活性化にもつながる」と力説した。

　講演会は青柳勇人副院長が座長を務めた。最後に阿部院長や草場理事長、堀医長らが登壇し、総合診療医の出発を祝った。（佐藤いづみ）