在宅医療の課題などを説明する酒井医師

十勝管内の医師、歯科医師、薬剤師が在宅医療の在り方について考える講演会が２２日、帯広市内の十勝歯科医師会館で開かれた。それぞれの立場から十勝の在宅医療の現状や課題について情報交換し、在宅を進めるために多職種が連携する重要性を確認した。

　管内の医師会、歯科医師会、薬剤師会の合同講演会として開かれ、各会の会員と行政関係者合わせて約１００人が参加した。

　初めに帯広市医師会から、帯広第一病院総合内科の酒井俊医師が、十勝の在宅医療の現状を紹介。在宅を手掛ける医師の負担軽減や人材確保などを図るため、昨年１１月に立ち上げた「十勝在宅医療ネットワーク」について説明し、「限られた医療資源をネットワークでまとめ、点ではなく面のサービスを提供できる体制を構築したい」と話した。

　続いて道薬剤師会十勝支部（十勝薬剤師会）から、向平尚弘在宅介護福祉委員長（おとふけ調剤薬局薬剤師）が在宅医療における薬剤師の役割を説明。薬剤師が患者宅を訪問して薬を管理することで、複数の医療機関からの重複投与を防いだり無駄な薬を減らしたりできるとした。一方で、一人薬剤師の薬局など在宅に参入できない薬局も少なくない現状を紹介し、「薬局間の連携が今後の課題の一つ」とした。

　最後に十勝歯科医師会から北斗病院歯科口腔外科の北川栄二医師が、在宅歯科診療について説明。「器具と機材さえあれば在宅で不可能な治療はない」とする一方、現実的には義歯の調整や応急処置にとどまっている実情を紹介した。また、治療中の偶発的な症状に備え、後方支援医療機関との連携が不可欠とした。