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口の渇きが、口臭やかむこと、疲れ、外出がおっくう…といった「主観的健康感」と大きく関係していることが、札幌医科大医学部の森満教授(公衆衛生学講座)らが、40~80歳の帯広市民を対象に実施した調査で分かった。共同研究者の鈴木惠三氏(歯科医)=東京=は「健康であることと、口の渇きが少ないことの関連性が高いと予想されることが分かった。主観ではあるが、数値として表せたことは大きい」と話している。
口の渇きの実態と関連性を探索し、健康増進の参考にしてもらおうと企画。森教授は「口の渇きとの関係をこれだけ詳しく調査する例は聞いたことがない」という。
帯広市の協力を得て、無作為で抽出した男女800人を対象に昨年6、7月に実施。全体の41・5%に当たる332人(40代38人、50代79人、60代104人、70代111人)から回答があった。既病歴や食事の嗜好(しこう)、かむことへの満足感、健康状態、生活状況など76項目について状況をまとめた。
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口の渇きに関しては「口の渇きが気になる」「昼間、口が渇く」と細分化して聞き、「いずれもある」と「いずれもない」「どちらかある」に分け、それ以外の質問との関係をクロス集計した。
口の渇きとの関連性が認められた設問は、全体の25%ほどに当たる20項目だった。中でも、かむことに満足している人で、口の渇きがない人は80・3%だったのに対し、口の渇きのある人は59・7%にとどまった。「(自身の)口臭を感じるか」との関係では、口の渇きが「ない」と回答した人の52・1%が「感じない」と回答したのに対し、口の渇きが「ある」人で口臭を感じないとした人は21・0%だった。
「味が分かりにくい」と答えた人で口の渇きが「ある」と回答した人は19・4%だったのに対し、「ない」人の場合は3・0%しかいなかった。「食べ物がかみにくくなったと感じるか」では、口の渇きが「ある」が51・6%もいたのに対し、「ない」は半分以下の23・5%だった。
「身体の調子が悪い」と答えた人で口の渇きが「ある」は41・9%、「ない」が20・5%。「外出がおっくう」と答えた人で口の渇きが「ある」人が40・3%なのに対し、「ない」人は半分以下の19・7%。
健康状態(「元気がある」「調子がいい」)と口の渇きとの関係では、「いずれもいい」が口の渇きがなかった人が77・5%、乾きがある人は13・9%しかいなかった。
一方、病歴と口の渇きはあまり関連はみられなかったが、「肺炎と診断されたことがある」、かつ口の渇きが「ある」人が比較的多くみられたという。口の渇きが「ない」、かつ肺炎が「ない人」は94・4%だったが、口の渇きがあり、肺炎の既往歴のない人は83・9%だった。
鈴木氏によると、釧路市民対象にも同様の調査を実施。結果は10月の日本公衆衛生学会で発表する予定。(